うわーっと転がっているうちに九月に入ってしまった。こちらを楽しみにしていた方がいらっしゃれば申し訳ない。それよりももちろん『次元を超える』完成を楽しみにしてらっしゃるのも当然。現在、九月に突入したが、先日、脚本14稿が届いて、それは細部まで磨きがかかり、相変わらず読んでいるだけでもワナワナしてしまう。うむ、言いたいことはただ一つ、『次元を超える』が、どうにかこの脚本の形で完成してほしいのだ。ではそれはどんな!?その内容やヒントは既に公式でいくつか提示されている。
第1弾ビジュアルの〈赤く染まった地球〉
第2弾ビジュアルが星空の中の〈北斗七星〉
次に、先日の「狼蘇山例祭」で聴衆が興奮した予告映像は、もはやそれがすでに作品になっていたが、これ、世間に広く公表するためにいくつかクリアするべき工程があるらしく只今準備中。
で、実は最近、豊田組から放たれた『次元を超える・手ぬぐい』三種類がある。その内容に「なんだ!これは!」と思った方々もいらっしゃるでしょう。さすがお目が高い。僭越ながら今回も意匠と図案はあたくしが担当したが、こちらをあえて文章化してみよう。
(一)次元格子柄
「次元を超える」の幕開けにふさわしい扉である。 この一見涼しげな細い格子、気づいた方はおられるか、どこか九字を彷彿とさせる。九字とは修験が使う「臨,兵,闘,者,皆,陣,列,在,前」9つの字を言う一種の呪句で,これを称えつつ、縦4本,横5本の線を空中に描き、除災戦勝等を祈る動作はご存じであろうか。さてしかし、ここでは6と5の格子、そう、物理学による11次元、 いやヨコに13組並んで13次元、その世界がタテ4段 に展開の全52組。昔から東洋風水の大吉数は52、西洋トランプの枚数しかり、一年の暦も52週である。この壮大な座標に狼の印が口を開けるのだ。ようこそ。
(二)法螺貝
映画「破壊の日」や「ここにいる。」に、道具や音として現れる法螺貝。そしてここでは北斗七星を背後にして宇宙にいる法螺貝。さらにこのような文言が入っているのだ。
三昧法螺声(さんまいほらしょう)
一乗妙法光(いちじょうみょうほうこう)
経耳滅煩悩(きょうにめつぼんのう)
当入阿字門(とうにゅうあじもん)
おいおいいったい何なんだこの呪文は。これら、監督が映画を作るにあたって全国の秘境を旅して手に入れたらしい!?・・・を入れてくれと監督が言う。意味はこういうことらしい。
法螺貝を吹けば
宇宙の真理の光と化し
あらゆる煩悩を吹き飛ばす
宇宙の門へ光となって流れ込め
法螺貝、その音は全ての音域が吹き出され、その波動は宇宙が生まれたときの破裂の記憶を呼び起こすらしい。ゆえに、山岳信仰に通ずる隆起した岩山は、宇宙物質の大きな結晶であり、太古の結晶ゆえその波動に呼応する。また、人ですら同じ素粒子で出来てるからこの波動に影響されるらしい。あの指を弾く〈弾指(だんじ)〉もまた破裂音でできている。さあ、いよいよそれまでの舞台挨拶や質疑応答、監督の構想段階で言われてきた宇宙、SF!?的を意味するところが顔を持ち上げてきたではないか。図案のコントラストと存在する法螺貝は、宇宙戦艦ヤマトの波動砲までも連想させ、その出入口は黒く、貝内の螺旋の世界は何と連結するのか。
●カムアゲイン
この18禁の春画のような真っ赤ないかがわしいてぬぐいは、公共に憚るが大人気だ。人が生まれてくる時空のトンネルに不敵な表情の狼が待ち構える。・・・に目標を決めた指。大遠近感でそびえる切断された指、切り口には〈無常〉!!
『破壊の日』冒頭や、『全員切腹』の冒頭にも描かれる〈切れた小指〉が意味する事とは何か。「かむあげいん」は昇天の要求なのか、そのまま「また来て」「もどってきて」だとしても思い巡らせるだけでもどうにかなってしまいそうだ。これ以上は言えない。
おお、もはやこの手ぬぐいが予告篇、または雑誌「映画秘宝」『次元を超える』特集記事ではないか。この大スペクタクル映画の完成は、かなりの難産で、ざっくばらんに書くと資金がまるで足らない。0が何個も足りない。国内だけの資金調達ではなく、世界の豊田利晃映画ファンや表現者は、この『次元を超える』一大事をきっと知らない。映画が難しすぎるこの時代と言われるが、どうか 美意識と作家性入魂の「豊田映画」爆発まで、行く末万端よろしく応援して欲しいとここに書き留めたいと思います。
(つづく)
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