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執筆者の写真切腹ピストルズ総隊長・飯田団紅/爆笑ウラ噺

第十六話/6月9日(金)


もちろん未だヒル警戒対策期間中であるが、各人足を運んでるうちに少々慣れてきた。が、昨夜の決起総会での佐々木氏の発言で、より切実な問題になったのである。監督と西方熊楠と再度ヒル対策を探しに行く。長靴の長さはどのぐらいにするか、地下足袋・脚絆なのか、防護服?当日の予想気温30℃近い。俗称・ペンギンと呼ばれる胸までつながった魚屋みたなやつはなかなか高価だ。袢纏や着流し高下駄の我々が、あーでもないこーでもないと試着している風景は、目立ちすぎなくらい「ここにいる。」であった。

もどってから、昨夜の総会の内容を経て、助監督のつもりで〈当日の時間割(通称・日々スケ)〉〈例幣使街道連合用の段取り細見〉〈現地地図〉〈スタッフリスト〉などの書類を完成させる。豊田組の以前からの本助監督・佐和田さんにキメ細かい助言をもらいつつ、まったくわからない映画用語や撮影暗号を読み解き、それなりの書類が完成した。特に〈日々スケ〉は謎がいっぱいで、小さなアルファベットや数字、時間、支度から移動から、すべての情報が入っている表組なのだが、細かく妄想して祈りに近い感覚ではめ込むパズルで、0.2とか0.3とか(脚本1頁内でのシーンボリューム)で時間割を決めていく。しかも、曇天とか日の光の狙い時刻とか、神頼みのための申請書と言っても良い。

神頼みで思い出したが、狼蘇山第一作目の「狼煙が呼ぶ」から、必ずと言って良いほど〈車〉にまつわる何かが起こる。パンクや脱輪などなどだ。つい先日の「次元を超える」でも、撮影前日に劇中車がパンク、当日早朝もスタッフ車がパンク。別に悪路でもないのになぜだろう。そんなのが毎度の話題でもあった。今回は何事も無いことを祈る。じゃないとあたくしの組んだギチギチの〈日々スケ〉が破綻しちまう。

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